赤芽球勞を合併し肺化膿症を発症したGood症候群の1例
佐藤 勝1) 永井 英明1) 倉島 篤行1) 四元 秀毅1) 毛利 昌史1) 福島 鼎2) 蛇沢 晶3)
〒204-0023 清瀬市竹丘3-1-1 1)国立療養所東京病院呼吸器内科 2)同 呼吸器外科 3)同 病理科
症例は56歳,男性.著明な貧血に伴う意識障害にて当院に二回入院歴があり,赤芽球勞と診断され,前縦隔腫瘍と低γグロブリン血症を認めた.呼吸困難,発熱,全身倦怠感が出現し今回の入院となった.左肺に空洞性病変を認め,前縦隔腫瘍は経皮生検により胸腺腫と診断され,Good症候群に肺化膿症を発症したものと診断された.抗生物質投与とドレナージで軽快し,抗生物質内服を継続することで感染症の増悪はみられず,外来でもコントロール可能であった.本症例の低γグロブリン血症の原因は,末梢血中のB細胞減少によるγグロブリン産生能低下によるものが考えられた.また本症例における赤芽球勞は輸血により回復し,その後無治療で改善に向かった.
Good症候群 赤芽球勞 肺化膿症 胸腺腫 低γグロブリン血症
Received 平成9年4月7日
日呼吸会誌, 36(2): 187-191, 1998