
進行性の気腫性肺嚢胞を合併し,気胸をくり返した慢性鳩飼病の1例
倉島 一喜1) 高柳 昇1) 前野 有理1) 徳永 大道1) 佐藤 長人1) 松島 秀和1) 生方 幹夫1) 柳沢 勉1) 杉田 裕1) 金沢 実1) 河端 美則2)
〒360-0105 埼玉県大里郡江南町板井1696 1)埼玉県循環器呼吸器病センター呼吸器内科 2)同 病理科
症例は48歳男性,会社員(事務職).14年前より鳩50羽を飼っていた.7年前風邪症状にて前病院受診.右肺尖部気腫性嚢胞と右上肺野粒状影を認め,BAL,TBLBにて過敏性肺蔵炎(鳩飼病)と診断された.鳩は処分するよう指導されたが処分しなかった.3年前より息切れが出現し当センター受診.両側肺嚢胞の進行と両側上葉の線維化が認められた.VATSにて呼吸細気管支中心性のリンパ球,形質細胞浸潤を認めた.Pigeon dropping extract(PDE)に対する血清IgG抗体陽性,BALF IgA抗体陽性であった.ステロイド投与を開始し,鳩,鳩小屋を処分した.しかしその後,気胸を繰り返し,気腫化および線維化の進行と肺活量の低下を認めている.慢性鳩飼病ではCT上肺線維症の他,気腫化を来すことがあり,抗原回避とステロイド投与を行っても進行する場合がある.慢性鳩飼病の長期予後と治療についてさらなる検討が必要と思われた.
Received 平成14年12月26日
日呼吸会誌, 41(6): 416-420, 2003