
軽症肺ランゲルハンス細胞組織球症の1症例
酒井 希美子1) 大朏 祐治2) 平澤 泰1) 橋本 明栄1) 中村 憲二3)
〒791-3310 愛媛県喜多郡内子町城廻275-1 1)喜多医師会立内山病院呼吸器内科 〒783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮 2)高知医科大学第2病理 〒791-0281 愛媛県温泉郡重信町横河原366 3)国立療養所愛媛病院呼吸器外科
症例は42歳,喫煙女性.胸部単純X線写真では数ミリ大の小結節影を示し,CTでは小葉中心性の小結節影および薄壁嚢胞影を全肺野末梢優位に認めた.胸腔鏡下肺生検にて,好酸球浸潤を伴う,S-100蛋白およびCD1a,CD4抗原陽性の活性化ランゲルハンス細胞の集積を認め,病変の分布密度は疎であったことから,早期病変を含む軽症の肺ランゲルハンス細胞組織球症と診断した.また,嚢胞影やスリガラス影を反映すると考えられた病理像は,Respiratory bronchiolitis-interstitial lung diseaseや小葉中心性肺気腫でも同様に認められる所見であった.肺ランゲルハンス細胞組織球症の様々な病期の混在を示唆する一方で,他の喫煙関連肺疾患の合併も否定できない症例であった.
ランゲルハンス細胞組織球症 好酸球性肉芽腫症 喫煙 肺気腫 RB-ILD
Received 平成14年11月15日
日呼吸会誌, 41(9): 685-690, 2003