![全文PDF](img/ico_pdf_full.gif)
成人気管支喘息患者におけるツロブテロール貼付薬連用による気道炎症及び気道過敏性の推移
堀口 高彦 近藤 りえ子 宮崎 淳一 鳥越 寛史 立川 壮一
〒454-8509 愛知県名古屋市中川区尾頭橋3-6-10 藤田保健衛生大学第2教育病院呼吸器内科
吸入ステロイド薬投与群(beclomethasone dipropionate:BDP 400μg/日,またはfluticasone propionate:FP400 μg/日)と非投与群の軽症持続型,中等症持続型成人気管支喘息患者を対象に,長時間作用型貼付β2刺激薬であるツロブテロール貼付薬(ホクナリンテープ®)を1年間連用し,気道炎症,気道過敏性に与える影響について検討した.その結果,朝のピークフロー(PEF)は,両群とも投与6カ月後に有意に上昇し,その効果は1年後にも持続していた.末梢血好酸球数は,両群とも有意な変化は認められなかった.血清eosinophil cationic protein(ECP)は,投与群で投与6カ月,1年後に有意に低下したが,非投与群では有意な変化はみられず,本薬剤による気道の抗炎症作用はほとんど認められないと思われた.気道過敏性(メサコリン累積濃度:Dmin)は,投与群では1年後に有意に改善し,血清ECP・気道過敏性の改善は,吸入ステロイド薬によるものであることが示唆された.非投与群では,6カ月後,1年後にDminの有意な悪化は認められず,1年間の連用による気道過敏性の増悪は起きにくいと思われた.本薬剤は,吸入ステロイド薬を併用投与され気道炎症を十分に抑制した状態では,長期間の投与でも気道過敏性の悪化はみられないことが示唆された.
気管支喘息 ツロブテロール貼付薬 末梢血好酸球 ECP; eosinophil cationic protein 気道過敏性
Received 平成15年5月23日
日呼吸会誌, 42(2): 132-137, 2004