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日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 検索用
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書誌情報

原 著

経鼻的低流量(低濃度)酸素吸入に酸素加湿は必要か?

宮本 顕二 

〒060-0812 札幌市北区北12条西5丁目 北海道大学医学部保健学科

要旨

我が国では酸素吸入時に酸素流量や酸素濃度に関係なく,常に酸素を加湿している.一方,欧米ではガイドラインに基づき,鼻カニュラで酸素流量4~5 L/分以下には酸素を加湿していない.今回,低流量(鼻カニュラで4 L/分以下,低濃度(ベンチュリマスクで40%以下)の酸素吸入において酸素加湿が不要とする理論的根拠を提示した.1)1回吸気量に占める酸素(配管から)の割合は少ない(鼻カニュラ2 L/分で9.5%,4 L/分で19%,ベンチュリマスク酸素濃度28%で8.9%,40%で24%),2)酸素加湿の有無による吸気ガス内水分量の差は,気道から分泌される水分量の9.3%(鼻カニュラ4 L/分の時),5.4%(ベンチュリマスク酸素濃度31%の時)とわずかである,3)加湿器を通さない酸素を吸入しても,室内気湿度を僅かに上昇させることで吸入気の水分量の低下を補充できる.以上の結果より,室内気湿度が充分保たれていれば,鼻カニュラで4 L/分まで,ベンチュリマスクで40%までは,あえて酸素を加湿する理論的根拠はない.しかし,この理論的根拠を裏付けるためには日本人を対象にした加湿の有無による自覚症状の比較検討が必要である.

キーワード

酸素療法  酸素加湿  在宅酸素療法  鼻カニュラ  ベンチュリマスク 

Received 平成15年6月16日

日呼吸会誌, 42(2): 138-144, 2004

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