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脳死片肺移植後に気道狭窄をきたし再移植登録中の肺リンパ脈管筋腫症の1例
河野 千代子1)4) 山口 哲生1) 山田 嘉仁1)4) 星 作男1) 天野 裕子1) 南 正人2) 三好 新一郎3) 松田 暉2) 巽 浩一郎4) 栗山 喬之4)
〒151-8528 東京都渋谷区代々木2-1-3 1)JR東京総合病院呼吸器内科 2)大阪大学大学院医学系研究科臓器制御外科 3)獨協医科大学胸部外科 4)千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学
症例は労作時呼吸困難を主訴とした34歳女性.画像上高度な嚢胞性変化を呈していた.胸腔鏡下肺生検により肺リンパ脈管筋腫症と確定診断した.この3年間の呼吸困難の進行が著しく,またプロゲステロン療法を施行するも効果が認められなかったため,移植ネットワークに登録した.登録後45日目に脳死ドナーからの左片肺移植術が施行された.術後18日目,左下葉支に気道粘膜の白色化を認め,53日目には同部位の狭窄,71日目には吻合部の狭窄が出現.ステント挿入,数回にわたるバルーン拡張術により安定するも換気不全が残存した.術前に比し自覚症状は軽減するも呼吸機能の改善は十分ではなく,さらに残存右肺の嚢胞性変化の進行も認めるため,現在再移植登録中である.
Received 平成15年4月16日
日呼吸会誌, 42(2): 170-175, 2004