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特異な気管支鏡所見を呈した気管支内ムコール症の1例
冨田 尚吾 武田 純一 蓮本 誠 鍵山 奈保 矢野 量三 中村 貴幸 貴嶋 宏全 岩久 郁子 倉石 博 菊池 敏樹 大塚 英彦 成島 道昭 鈴木 一
〒227-8501 横浜市青葉区藤が丘1-30 昭和大学藤が丘病院呼吸器内科
症例は54歳,男性.左上葉原発の肺小細胞癌の診断にて1997年より化学療法および放射線治療等を受けていた.2001年8月,proGRP再上昇認め,再入院となった.気管支鏡検査にて左上区入口部は,チーズ様の壊死組織により閉塞し,その上に白色樹枝状の隆起性病変を認めていた.同部の生検より腫瘍細胞とともにムコールが検出され,真菌培養からもムコールが同定された.抗真菌薬は投与しなかったが,生検鉗子による除去と2クールの肺癌化学療法により病変部の改善が得られた.限局型の気管支内ムコール症は珍しく,また極めて特異な気管支鏡所見を呈しており興味ある症例と考えられた.
Received 平成15年5月21日
日呼吸会誌, 42(2): 181-184, 2004