![全文PDF](img/ico_pdf_full.gif)
Bilevel PAP時の中枢気道径変化を評価しえた気道狭窄を伴う再発性多発性軟骨炎の1例
古森 雅志1) 井上 博雅1)4) 池上 智美1) 濱田 直樹1) 古藤 洋1) 松元 幸一郎1) 坂井 修二2) 橋本 修一3) 原 信之1) 中西 洋一1)
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1 1)九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設 2)九州大学医学部附属病院放射線科 3)九州大学医学部附属病院病理部
再発性多発性軟骨炎に伴う広範な気道狭窄をきたした一症例を経験した.症例は52歳男性.5年前に強膜炎,3年前に手指と耳介の腫脹,鞍鼻を認め再発性多発性軟骨炎との診断のもとステロイド内服加療中であった.今回,呼吸困難が出現し入院となった.高炭酸ガス血症を伴う低酸素血症を認め,気管内挿管後に施行した胸部CTでは,気道のびまん性狭小化,主気管支レベルでの呼気時完全虚脱を呈しており,再発性多発性軟骨炎に伴う広範な気道狭窄による呼吸不全と判断した.気管内挿管下に人工呼吸管理し,ステロイドパルス療法及び抗生剤投与を行った.人工呼吸器からの離脱は困難であったが,胸部CT撮影の際にBilevel PAPを装着して評価した結果,気道虚脱の改善が確認できたため,従量式人工呼吸器からBilevel PAPに変更した.さらにその条件で気管切開チューブからマスクによる人工呼吸管理に移行し,最終的に人工呼吸器より離脱できた.
再発性多発性軟骨炎 中枢気道狭窄 バイレベル気道内陽圧(Bilevel PAP)
Received 平成15年8月18日
日呼吸会誌, 42(2): 185-190, 2004