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Q熱感染により慢性呼吸不全の急性増悪をきたした1例
安部 崇1) 堀場 通明1) 進藤 丈1) 木村 智樹1) 小宮 智義2) 山木 健市3) 久米 裕昭4) 下方 薫4)
〒503-8502 岐阜県大垣市南頬町4-86 1)大垣市民病院呼吸器科 2)北里研究所生物製剤研究所 3)刈谷総合病院東分院 4)名古屋大学呼吸器内科
我々は,我が国の呼吸器感染症におけるQ熱の頻度を検討するため,幅広く血清学的な検討を行っている.そのなかで,Q熱感染により慢性呼吸不全の急性増悪をきたした1例を経験したので報告する.症例は73歳男性.既往症は肺結核症.高血圧症で通院加療中.発熱と咳嗽・喀痰が出現し,労作時呼吸困難が増悪したため受診し,低酸素血症を認め感染を契機とした呼吸不全・右心不全として入院となる.Azithromycin投与により感染症状は軽快した.しかし,もともと陳旧性肺結核による混合性換気障害が存在しており,この感染を契機として慢性呼吸不全の長期管理のため,在宅酸素療法が導入された.ペア血清でQ熱抗体価を測定したところ,入院時陰性であった抗体価が回復期に有意に上昇しており,急性Q熱と診断した.Q熱感染が慢性呼吸不全の急性増悪の契機となり,臨床的にも重要と考えられた.
Q熱 Coxiella burnetii 慢性呼吸不全 急性増悪 間接蛍光抗体法
Received 平成15年9月2日
日呼吸会誌, 42(2): 195-199, 2004