
画像上,両肺に多発する結節影を呈し,開胸肺生検で硬化性血管腫と診断された1例
伊藤 一寿 坂上 拓郎 阿部 徹哉 筒井 奈々子 中嶋 治彦 原口 通比古
〒950-8739 新潟市紫竹山2丁目6番1号 新潟市民病院呼吸器科
症例は16歳の中国人女性.平成16年の学校検診で胸部X線の異常を指摘され,7月2日に当科外来を初診した.画像上,最大径5 cmまでの境界明瞭で辺縁の整った結節の多発が両肺に認められた.悪性腫瘍の肺転移を第一に考え,全身検索を進めたが診断には至らなかったため,11月8日に開胸肺生検を施行した.腫瘍内部は乳頭状部分,充実性部分,硬化性部分が混在しており,それらを構成する腫瘍細胞は乳頭状構造の表面を覆う上皮様細胞と,その下に存在する充実性増殖を示す円形ないし多角形細胞成分の2種よりなっていた.組織化学的検索ではこれらの腫瘍細胞は肺胞上皮細胞のマーカーが陽性であった.この様な結果より硬化性血管腫と診断した.硬化性血管腫の多発例は稀であり,文献的考察を加え報告する.
Received 平成18年2月3日
日呼吸会誌, 44(11): 848-852, 2006