過換気症候群にて救急外来頻回受診中に,気管支喘息の合併を診断しえた2症例
柏木 宏子1) 森松 嘉孝1) 興梠 博次2) 田尻 守拡1) 相澤 久道3)
〒860-0008 熊本県熊本市二の丸1-5 1)国立病院機構熊本医療センター呼吸器内科 2)熊本大学大学院医学薬学研究部呼吸器病態学 3)久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経内科・膠原病部門
過換気症候群に隠れていた気管支喘息2症例を報告する.症例1は43歳女性.過換気症候群として長期間救急外来を頻回に受診していた.当初は咳嗽のみであったが,次第に呼吸困難を自覚するようになった.喘鳴の存在から気管支喘息を疑い,気道可逆性試験により気管支喘息と診断した.症例2は24歳女性.長期間過換気症候群として他院救急外来頻回受診していた.当科外来にて気道可逆性試験により喘息と診断した.いずれの症例も心理的因子が背景に存在し,気管支喘息の加療後に発作は著明に軽減した.過換気症候群には高率に気管支喘息を合併するという報告があり,頻回に救急外来を受診する過呼吸患者には丁寧な聴診の上,呼吸機能検査や気道可逆性試験を行うことによって,隠れた気管支喘息を鑑別する必要がある.
気管支喘息 過換気症候群 パニック障害 呼吸機能検査 気道可逆性試験
Received 平成19年8月9日
日呼吸会誌, 46(5): 374-378, 2008