高齢者COPDの急性増悪に対するインフルエンザワクチンの効果
綾部 悦里好1) 金子 教宏1) 大国 義弘1) 三沢 昌史1) 井上 恵一1) 田辺 裕子1) 安井 大策1) 佐藤 智恵子1) 光石 陽一郎1) 中下 珠緒2) 本島 新司2)
〒296-8602 千葉県鴨川市東町929 1)亀田総合病院呼吸器内科 2)亀田総合病院リウマチ・膠原病・アレルギー内科
COPDの急性増悪は予後を悪化させるためその予防は重要な問題である.我々は,高齢者COPD患者の急性増悪に対するインフルエンザワクチンの有効性についての検討を行った.当院呼吸器内科に通院中の65歳以上の患者で1秒率が70%未満のCOPD患者289例を対象とし,ワクチンを接種した群189例と接種しなかった群100例に分け比較検討した.喘鳴による予定外通院は,接種群では11例(5.8%),非接種群は23例(23%)であり,相対リスク減少率は74.7%であった.肺炎による入院は,接種群で8例(4.2%)であり非接種群14例(14%)に対して有意差をもって減少し,減少率は69.8%であった.ワクチン接種により対象者一人当たり91,525円の入院医療費削減効果を認めた.インフルエンザワクチンは高齢者COPD患者に対して気道感染による急性増悪を減少させ,入院医療費の削減効果も認められた.
Received 平成19年9月18日
日呼吸会誌, 46(7): 511-515, 2008