
イブプロフェンを含む複数の薬剤が原因と考えられた薬剤誘起性好酸球性肺炎の1例
阿南 栄一朗1) 白井 亮2) 甲斐 直子1)2) 石井 寛2) 平田 範夫1) 岸 建志2) 時松 一成2) 仲間 薫1) 平松 和史2) 門田 淳一2)
〒870-0263 大分市横田2丁目11番45号 1)国立病院機構大分医療センター呼吸器科 2)大分大学医学部総合内科学第二講座
症例は41歳,女性.39℃以上の発熱のため,市販薬イブA錠®(イブプロフェン)を服用したが改善せず,近医を受診した.感冒の診断でアセトアミノフェンとセフカペンが処方されたが解熱せず,呼吸困難を生じたため,当科に入院となった.著明な低酸素血症と炎症所見,胸部X線検査で両肺野にびまん性のスリガラス状陰影を認めた.気管支肺胞洗浄液中の好酸球比率が66%と上昇しており,経過と検査所見から薬剤誘起性の急性好酸球性肺炎と診断した.薬剤を中止し,ステロイドを投与したところ速やかに改善した.薬剤リンパ球刺激試験では,イブA錠®,アセトアミノフェン,セフカペンがいずれも陽性であった.本症例は,市販薬および服薬頻度の高い複数の薬剤が原因で薬剤性肺炎を発症したと考えられ,しかもイブプロフェンが原因と考えられた報告は本邦ではこれまでになく,貴重な症例と思われる.
イブプロフェン セフカペン アセトアミノフェン 薬剤性肺炎 リンパ球刺激試験
Received 平成20年11月4日
日呼吸会誌, 47(5): 443-447, 2009