
自己免疫性溶血性貧血を合併した間質性肺炎の1例
玉置 健一郎1) 鍋谷 大二郎2) 辻 泰佑3) 青山 眞弓1) 久保 嘉朗1)
〒553-0003 大阪府大阪市福島区福島2丁目1-7 1)関西電力病院呼吸器内科 2)淀川キリスト教病院呼吸器内科 3)近畿中央胸部疾患センター呼吸器内科
71歳男性.2007年11月に褐色尿が出現し,12月頃より労作時呼吸困難,乾性咳嗽を自覚し掻痒を伴う皮疹が体幹と両上下肢に出現した.2008年1月に胸部レントゲンから間質性肺炎(以下IP)を疑われて近医より当院へ紹介となり,胸部CT,気管支鏡検査等より間質性肺炎と診断した.また採血上,ヘモグロビンの低下(6.4 g/dL)を認め,直接及び間接クームス試験陽性などにより自己免疫性溶血性貧血(以下AIHA)と診断した.ステロイド加療により肺病変,貧血ともに改善が見られた.両疾患の合併例は調べた限り15例と稀であり,AIHA先行型は予後良好であるのに対しIP先行型は不良である傾向を認めた.本症例は発症時に末梢血においてIgG,IgA及び免疫複合体の上昇を認め,IPとAIHAとの同時発症の病態にIgG,IgA及び免疫複合体が何らかの関与をしていると思われた.
間質性肺炎 自己免疫性溶血性貧血 苔癬様皮疹 ステロイド 免疫複合体
Received 平成21年8月3日
日呼吸会誌, 48(6): 426-431, 2010