日本人進行性非小細胞肺癌患者におけるエルロチニブ単剤療法の第II相試験統合解析
岡本 浩明a 渡辺古志郎b 後藤 功一c 田村 友秀d 高橋 利明e 一瀬 幸人f 中川 和彦g 畝川 芳彦h 西條 長宏g 福岡 正博i
a横浜市立市民病院呼吸器内科
b横浜市立市民病院
c国立がん研究センター東病院呼吸器内科
d国立がん研究センター中央病院呼吸器腫瘍科
e静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科
f国立病院機構九州がんセンター呼吸器科
g近畿大学医学部腫瘍内科
h山口宇部医療センター呼吸器内科
i和泉市立病院がんセンター
日本人患者におけるエルロチニブの有効性および安全性プロファイルを詳細に検討することを目的として,国内で実施された既報の2つの第II相試験(JO16565試験およびJO18396試験)の統合解析を行った.奏効率は28%(30/106例)と良好であり,奏効例の70%(21/30例)の患者に治療開始から30日以内の早期PR-in(ベースライン径和に比して,標的病変の径和が30%以上減少)が確認された.quality of life(QoL)に関し,stable disease(SD)患者におけるQoLの改善率は65%(11/17例)と高く,SD継続期間中にLung Cancer Subscaleスコア改善が持続する傾向が認められたことから,奏効が認められないSD患者においても,エルロチニブにより自覚症状の改善が期待される.安全性に関し,有害事象の発現により減量を要した患者においても,適切な減量を実施することで治療効果を維持することが可能と考えられた.
Received 21 Oct 2011 / Accepted 16 Dec 2011
連絡先:岡本 浩明
〒240-8555 神奈川県横浜市保土ケ谷区岡沢町56
横浜市立市民病院呼吸器内科
日呼吸誌, 1(3): 190-196, 2012