右横隔神経麻痺を契機に発見された結核性鎖骨上窩リンパ節炎の1例
板倉 由幸a 徳安 宏和a 中﨑 博文a 坂口 泰人b 磯和 理貴b 清水 英治c
a松江赤十字病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
c鳥取大学医学部分子制御内科
症例は50歳女性.検診で施行された胸部X線検査で右横隔膜挙上を指摘され松江赤十字病院呼吸器内科紹介受診となった.頸部胸部CTで右鎖骨上窩,縦隔に1 cm強の腫大したリンパ節を複数認めた.喀痰検査で抗酸菌は陰性であったが,QuantiFERON-TB2 G®(QFT)検査は陽性であった.右鎖骨上窩リンパ節生検を施行し,組織学的検査でLanghans巨細胞を伴った肉芽腫形成を認め,結核性リンパ節炎と診断した.抗結核薬による標準治療を6ヶ月間施行し,腫大リンパ節の縮小,右横隔膜挙上の改善を認めた.腫大した右鎖骨上窩リンパ節が右横隔神経を圧迫することで右横隔神経麻痺が引き起こされたと考えられた.横隔神経麻痺を伴う結核性リンパ節炎の報告は非常にまれであり貴重な症例と思われた.
Received 28 Jul 2011 / Accepted 24 Nov 2011
連絡先:徳安 宏和
〒690-8506 島根県松江市母衣町200
松江赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 1(3): 237-241, 2012