ダビガトランエテキシラートによる肺胞出血の1例
工藤健一郎a 谷本 安a 久本 晃子a 市原 英基a 谷本 光音b 木浦 勝行a
a岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科
b岡山大学大学院医歯薬学総合研究科血液・腫瘍・呼吸器内科学
症例は74歳女性.2011年3月から慢性心房細動に対してダビガトランエテキシラートを処方されていた.同年6月下旬頃から咳嗽,血痰,肉眼的血尿を認め近医受診した.胸部X線写真,コンピューター断層写真にて,両肺にびまん性のすりガラス様陰影と一部融合像を認め,当院に紹介入院となった.肺胞出血を疑って気管支鏡検査を施行したところ,血性の気管支肺胞洗浄液が回収された.ダビガトランエテキシラート中止後はすりガラス様陰影と融合像は改善し,ダビガトランエテキシラートによる肺胞出血と診断した.ダビガトランエテキシラートによる肺胞出血の報告はこれまでになく,臨床上注意すべき有害事象と考え報告する.
Received 19 Aug 2011 / Accepted 15 Nov 2011
連絡先:工藤 健一郎
〒700-8558 岡山市北区鹿田町2-5-1
岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科
日呼吸誌, 1(3): 247-250, 2012