インフルエンザ後にFusobacteriumによる敗血症性肺塞栓症を合併した1例
山川 英晃 高柳 昇 米田紘一郎 石黒 卓 柳澤 勉 杉田 裕
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
症例は基礎疾患のない25歳男性.発熱を主訴に近医を受診し,迅速抗原検査によりB型インフルエンザと診断された.オセルタミビル(oseltamivir)を内服したが解熱せず胸部X線写真で浸潤影を認められ,インフルエンザの診断4日後に当センターへ紹介受診した.胸部CT検査では両肺に多発する結節影を認め敗血症性肺塞栓症の診断で入院した.血液培養でFusobacterium necrophorumが同定されたため,同菌によるインフルエンザウイルス感染後の敗血症性肺塞栓症と診断した.有瘻性膿胸を合併したが抗菌薬投与と胸腔ドレナージにより改善した.F. necrophorumはLemierre症候群の原因菌として有名であるが,本症例は静脈血栓症はなく,インフルエンザによる咽頭炎から感染が波及したと推定された.インフルエンザ後の敗血症性肺塞栓症の原因菌としてF. necrophorumを考慮する必要がある.
Fusobacterium necrophorum 敗血症性肺塞栓症 インフルエンザ 敗血症
Received 24 Nov 2011 / Accepted 17 Feb 2012
連絡先:山川 英晃
〒360-0197 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 1(6): 502-507, 2012