胸水が初発症状となった,多発性骨髄腫に伴う胸膜アミロイドーシスの1例
多田 麻美a,b 高柳 昇a 石黒 卓a 徳永 大道a 清水 禎彦c 杉田 裕a
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b昭和大学藤が丘病院呼吸器内科
c埼玉県立循環器・呼吸器病センター病理診断科
症例は61歳,男性.2週間前より息切れが出現し,胸部CT検査で左優位の両側胸水と両側性の胸膜肥厚を認めた.左胸水はリンパ球優位の滲出性胸水で細胞診はclass II,右胸水は漏出性胸水であった.超音波下に左胸膜の肥厚部を生検し,好酸性微細顆粒状物質を貪食した異物型巨細胞を認めた.胸腔鏡下に胸膜生検を行い,好酸性で類円形の無構造物質の沈着を認め,Direct Fast Scarlet(DFS)染色陽性であった.胸膜アミロイドーシスと診断し,尿中Bence Jones蛋白陽性,骨髄穿刺所見からBence Jones蛋白-κ型の多発性骨髄腫と診断した.本例では,胸水貯留に伴う息切れが多発性骨髄腫に伴う胸膜アミロイドーシスの初発症状であった.
Received 7 Aug 2012 / Accepted 22 Feb 2013
連絡先:多田 麻美
〒360-0965 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 359-364, 2013