ネズミ忌避剤(ハッカ油)の吸入による外因性リポイド肺炎の1例
村瀬 享子a 野田 一成a 大滝 美浩a 安田 順一a 青木 茂行a 清水誠一郎b
a公立昭和病院呼吸器内科
b同 病理診断科
症例は64歳,女性.2011年12月上旬に咽頭痛,咳嗽,微熱を主訴に来院し,血液ガス分析の結果,I型呼吸不全状態であり入院となった.胸部X線写真はすりガラス陰影を呈し,気管支肺胞洗浄液の脂肪染色で脂肪貪食肺胞マクロファージを認め,リポイド肺炎と診断した.問診にてネズミ忌避剤スプレーの使用が判明し,その成分であるハッカ油がリポイド肺炎の原因と考えた.薬剤の中止とステロイドパルス療法を含めた治療により,症状と画像所見は徐々に改善した.精油によるリポイド肺炎の報告はなく,貴重な症例として報告する.
Received 6 Feb 2013 / Accepted 29 Mar 2013
連絡先:村瀬 享子
〒187-8510 東京都小平市花小金井8-1-1
公立昭和病院呼吸器内科
日呼吸誌, 2(4): 466-470, 2013