長期服用中に発症したバルプロ酸ナトリウムによる薬剤起因性胸膜炎と考えられた1例
押方智也子a 釣木澤尚実a 細田のぞみb 堀田 綾子c 齋藤 生朗c 秋山 一男a
a独立行政法人国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科
b相模原療育園小児科
c独立行政法人国立病院機構相模原病院病理診断科
症例は48歳,男性.脳性麻痺,症候性てんかんがあり,バルプロ酸ナトリウム(VPA)とカルバマゼピンを8歳頃より内服していた.発熱と胸痛があり,胸部X線写真で右胸水を認め入院した.胸水好酸球10%,一般細菌・抗酸菌培養陰性,細胞診陰性で,VPA減量後胸水は減少した. VPA再開後胸水量が増加し,胸水中好酸球割合が54%に増加した.VPAを漸減中止し,約4ヶ月後に胸水消失を確認した.本症例は約40年間の内服継続後に発症し,長期服用中の薬剤についても薬剤性肺障害をきたす可能性を考慮する必要性があると考えられ,報告する.
Received 21 Jun 2013 / Accepted 17 Oct 2013
連絡先:釣木澤 尚実
〒252-0392 神奈川県相模原市南区桜台18-1
独立行政法人国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科
日呼吸誌, 3(1): 121-127, 2014