胸腺腫治療後に脱髄性多発神経炎による呼吸不全をきたした1例
濱野 紗朱a 髙山 浩一a 中西 洋一a 稲水佐江子b 米川 智b 吉良 潤一b
a九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
b九州大学大学院医学研究院神経内科学
今回,術前に抗アセチルコリンレセプター抗体陽性であった胸腺腫の症例に対して拡大胸腺摘出術および左胸膜肺全摘術を施行し,術後2ヶ月目に2型呼吸不全を呈した症例を経験した.神経学的検査の結果,多発神経障害による眼球運動障害および横隔神経麻痺を認め,脱髄性多発神経炎と診断し,その後の経過よりGuillain-Barré症候群(GBS)が疑われた.GBSなどの脱髄性多発神経炎と胸腺腫の合併についての報告は少なく,また今回術後に発症した症例として文献的考察を加えてこれを報告する.
Received 18 Jun 2013 / Accepted 7 Nov 2013
連絡先:髙山 浩一
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
日呼吸誌, 3(2): 237-240, 2014