Topics 2 非侵襲的陽圧換気(NPPV)に関する最新の知見
a京都大学大学院医学研究科呼吸器内科
b同 呼吸管理睡眠制御学講座
1990年代から発展した非侵襲的陽圧換気(NPPV)療法は,心原性肺水腫や慢性閉塞性肺疾患増悪などの一部の病態ではすでに有用性が確立され,さらに今なおその適応はさまざまな呼吸不全へ拡大されて,有効性を示唆する報告が集積されつつある.一方で,NPPVの有効性について一律な結論が難しい,あるいは評価がいまだ不十分の領域が多いことも事実である.実際のNPPVの適応に際しては,現在のエビデンスとその有用性・限界をふまえたうえで,挿管人工呼吸と相補的な人工呼吸手段としてNPPVを認識し,症例に応じてその適応や有効性を吟味する姿勢が重要である.NPPVの成否は施設・チームの経験に依存する面も大きく,特に評価が未確定の領域においては,各施設の体制に応じて柔軟かつ慎重な運用を行うことが求められる.
非侵襲的陽圧換気 急性呼吸不全 慢性呼吸不全 急性呼吸窮迫症候群 鎮静
連絡先:陳 和夫
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54
京都大学大学院医学研究科呼吸器内科
日呼吸誌, 3(6): 748-757, 2014