慢性過敏性肺炎が疑われた症例の経過中に顕微鏡的多発血管炎を発症した1例
佐賀大学医学部内科学講座血液・呼吸器・腫瘍内科
症例は63歳,男性.2010年3月に呼吸困難が出現し受診.饅頭製造業に従事し小麦粉曝露歴があった.胸部CTで両下葉に網状影,すりガラス陰影を認めた.各種検査結果および抗原回避によりすりガラス陰影の改善を認めたことから,小麦粉粉塵吸入による慢性過敏性肺炎と診断した.2011年3月,発熱・関節痛・皮疹が出現.MPO-ANCA陽性化と皮膚生検組織所見から顕微鏡的多発血管炎と診断した.ステロイドで血管炎症状は改善したが,間質性陰影は変化なかった.既存の間質性肺疾患に血管炎が続発した病態と考え報告する.
Received 17 Sep 2014 / Accepted 18 Nov 2014
連絡先:高橋 浩一郎
〒849-8501 佐賀県佐賀市鍋島5-1-1
佐賀大学医学部内科学講座血液・呼吸器・腫瘍内科
日呼吸誌, 4(2): 189-193, 2015