乳癌系血清腫瘍マーカーが高値を呈し免疫組織染色で産生を確認できた器質化肺炎の1例
国立国際医療研究センター呼吸器内科
症例は51歳,女性.3週間前からの咳・痰・発熱を主訴に受診し,胸部単純X線写真で異常影を認めた.非定型肺炎が疑われ抗菌薬を投与されたものの改善せず,胸部CT所見とCA15-3などの乳癌系腫瘍マーカーの上昇のため乳癌の肺転移が疑われたものの,乳癌や他の原発巣は確認されなかった.経気管支肺生検で器質化肺炎と診断され,免疫組織染色でCA15-3の産生が確認された.治療においては,経口ステロイド投与が奏効した.今回の症例で,乳癌系腫瘍マーカーが器質化肺炎で産生されうることが確認された.このような症例では病理学的評価が重要と考えられた.
Received 8 Oct 2014 / Accepted 21 Mar 2015
連絡先:平嶋 純子
〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1
国立国際医療研究センター呼吸器内科
日呼吸誌, 4(4): 283-287, 2015