間質性肺炎急性増悪により顕在化した肝肺症候群の1例
井上 幸久a,b 榛沢 理a 矢澤 克昭a 高崎 寛司a 磯貝 進a 稲瀬 直彦b
a青梅市立総合病院呼吸器内科
b東京医科歯科大学呼吸器内科
症例は76歳,男性.労作時呼吸困難を主訴に当院受診した.低酸素血症を認め,CTで両肺に蜂巣肺を伴うびまん性のすりガラス陰影および肺内血管拡張を認めた.間質性肺炎急性増悪と考え非侵襲的陽圧換気療法併用下でステロイド治療後,陰影は消退した.しかし,座位での呼吸困難,低酸素血症を認め,platypnea-orthodeoxia症候群と診断した.これを契機に,大酒家であったことによるアルコール性肝線維症の合併が判明し,肝肺症候群と診断した.間質性肺炎急性増悪で顕在化した肝肺症候群はまれであり,報告した.
肝肺症候群 間質性肺炎 急性増悪 Platypnea-orthodeoxia症候群
Received 23 Mar 2015 / Accepted 9 Jun 2015
連絡先:井上 幸久
〒198-0042 東京都青梅市東青梅4-16-5
青梅市立総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(5): 389-393, 2015