下気道感染の合併により増大し,肺野に多彩な陰影を伴った気管支原性嚢胞の1例
角谷 拓哉a 横村 光司a 後藤 彩乃a 小谷内敬史a 丹羽 宏b 須田 隆文c
a聖隷三方原病院呼吸器センター内科
b同 呼吸器センター外科
c浜松医科大学呼吸器内科
症例は64歳,女性.胸痛と乾性咳嗽を主訴に受診した.胸部画像検査では気管分岐下に65 mm大の嚢胞性病変を認め,これにより右中葉気管支は圧排され,肺野には右中葉に限局した小葉間隔壁の肥厚,小葉中心性粒状影,すりガラス影といった所見が混在し,少量の右胸水を伴っていた.血液検査で炎症反応の上昇があり,抗菌薬により症状・炎症反応・肺野陰影および胸水は速やかに改善し,嚢胞の縮小が得られ,嚢胞摘出術が施行された.下気道感染に伴い気管支原性嚢胞が増大し,周囲臓器を圧排したことにより多彩な陰影を呈したと考えられた.
Received 5 Jun 2016 / Accepted 26 Sep 2016
連絡先:角谷 拓哉
〒433-8558 静岡県浜松市北区三方原町3453
聖隷三方原病院呼吸器センター内科
日呼吸誌, 6(1): 49-52, 2017