多彩な肺陰影を呈し浸潤性粘液腺癌との鑑別を要した膵癌肺転移の1例
早川 美帆a 土方 寿聡a 冨田 洋樹a 川浪 匡史a 沓名 健雄b 若山 尚士a
a名古屋第二赤十字病院呼吸器内科
b大同病院呼吸器内科
症例は73歳女性.倦怠感を主訴に受診し,胸部CTで両肺多発粒状影および下葉優位の浸潤影を認め,経気管支肺生検で浸潤性粘液腺癌と診断した.当初は原発性肺癌が疑われたが,PET-CTで膵体部に異常集積を認め,超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)で腺癌と診断した.肺と膵の組織の免疫染色の所見は一致(CK7陽性,CK20・TTF-1・SP-A陰性)し,DU-PAN-2高値から膵癌肺転移と診断した.浸潤性粘液腺癌と膵癌肺転移の鑑別診断の一助として腫瘍マーカーと免疫染色,特にCK7/CK20フェノタイプが有用であった.
転移性肺腫瘍 膵癌 肺胞壁被覆型転移 浸潤性粘液腺癌 サイトケラチン
Received 26 Mar 2018 / Accepted 27 Jun 2018
早川 美帆
〒466–8650 愛知県名古屋市昭和区妙見町2–9
名古屋第二赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 7(5): 311-315, 2018