急速に増大した胸郭内骨外性骨肉腫の1剖検例
池田 貴登a 木下 義晃a,b 佐々木朝矢a 石井 寛a 鍋島 一樹b 藤田 昌樹a
a福岡大学病院呼吸器内科
b福岡大学医学部病理学講座・病理部/病理診断科
症例は72歳女性.背部痛を主訴に当院を受診した.胸部造影CTでは左胸郭内を埋め尽くす巨大腫瘤を認めた.経皮的腫瘍生検では,骨や類骨の形成を伴う高度異型の紡錘形細胞が腫瘍性に増殖する像が確認され,骨肉腫と診断した.全身検索でその他の部位に腫瘤性病変を認めず,胸郭内骨外性骨肉腫と診断した.診断から約2ヶ月後に死亡し,病理解剖では腫瘍は壁側胸膜もしくはその近傍の軟部組織に発生し,肺を圧排しながら増殖したことが確認された.胸郭内に発生した骨外性骨肉腫はきわめて稀であり,わが国の報告例の検討を加え報告する.
Received 2 Nov 2018 / Accepted 25 Dec 2018
池田 貴登
〒814–0180 福岡県福岡市城南区七隈7–45–1
福岡大学病院呼吸器内科
日呼吸誌, 8(2): 118-122, 2019