リンパ管造影が診断に有用であった,鈍的外傷が原因と考えられる乳び胸の1例
岩田 帆波a 西馬 照明a 岩永幸一郎b 坂本 憲昭c 土師 守c
a地方独立行政法人加古川市民病院機構加古川中央市民病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
c同 放射線科
生来健康な27歳女性.1ヶ月前に右上腕骨骨折で受傷.1週間前より呼吸困難を訴え,前医で左大量胸水を指摘され当院へ紹介入院.乳び胸と診断したが,局所麻酔下胸腔鏡検査では腫瘍性病変はなく,横隔膜の隆起部からの乳びの漏出を認めた.胸腔ドレナージ,保存的加療を行ったが排液が減少しないため,リンパ管造影検査を施行し,胸管左側枝からの造影剤の流出を確認した.鈍的外傷が原因と考えられた.さらにオクトレオチド(octreotide)皮下注を試したが効果なく,入院23日目に左胸腔鏡下胸管結紮術を行ったところ,乳びの漏出は消退し,軽快退院した.
Received 29 Aug 2018 / Accepted 20 Dec 2018
西馬 照明
〒675–8611 兵庫県加古川市加古川町本町439
地方独立行政法人加古川市民病院機構加古川中央市民病院呼吸器内科
日呼吸誌, 8(2): 138-141, 2019