無症状で経過した肺リンパ腫様肉芽腫症の1例
堀 好寿a 黒川 允a 吉嶺 文俊a 大橋 和政b 伊藤 竜b 高田 俊範b
a新潟県立十日町病院呼吸器内科
b魚沼基幹病院呼吸器・感染症内科
症例は66歳女性.4年前の検診で,胸部X線異常を指摘された.胸部CTで多発浸潤影と小葉間隔壁の肥厚,また高ガンマグロブリン血症が認められた.経過中に自覚症状は全くなかったが,肺病変は徐々に増悪した.気管支肺胞洗浄では,69%を占める形質細胞がみられた.外科的肺生検で,濾胞様構造を伴うリンパ球の増殖,肺胞構築の破壊と血管壁へのリンパ球浸潤,免疫染色で濾胞間にEBER-1陽性のリンパ球を散見し,リンパ腫様肉芽腫症と診断した.診断後,無治療で約1年間経過観察をしているが,原疾患の増悪はみられない.
肺リンパ腫様肉芽腫症 高ガンマグロブリン血症 Epstein-Barrウイルス
Received 14 Apr 2020 / Accepted 16 Jun 2020
堀 好寿
〒948–0065 新潟県十日町市高田町3–32–9
新潟県立十日町病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(5): 365-369, 2020