胸部MRIが診断に有用であった肺浸潤性粘液性腺癌の1例
木村 友之a 本間 哲也a 加藤 栄助b 藤森 麻美c 藤原 明子a 相良 博典a
a昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門
b昭和大学藤が丘病院呼吸器内科
c小田原市立病院呼吸器内科
悪性肺腫瘍の診断遅延は治療選択肢の減少と並行して予後の悪化をきたす.肺浸潤性粘液性腺癌は診断にしばしば難渋するが,最近,胸部MRIの診断における有用性が報告されている.症例は68歳女性,胸部異常影の精査目的で受診し,胸部CTで気管支透亮像とすりガラス陰影を伴う異常陰影を認めた.気管支鏡検査で悪性所見なく,胸部MRIで粘液産生腫瘍を疑う所見を認めたため,悪性腫瘍を念頭に手術療法を行った.結果,肺浸潤性粘液性腺癌と診断した.肺浸潤性粘液性腺癌における胸部MRIの有用性についての報告は少なく,文献的考察を加え報告する.
Received 6 Apr 2020 / Accepted 2 Jun 2020
木村 友之
〒142–8555 東京都品川区旗の台1–5–8
昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門
日呼吸誌, 9(5): 388-391, 2020