免疫抑制状態の若年女性に発症した活動性肺病変を伴わない播種性結核
磯 博和 田中 徹 柏田 建 齋藤 好信 清家 正博 弦間 昭彦
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
症例は23歳女性.シェーグレン症候群に対して免疫抑制薬を長期内服中であった.2ヶ月前から倦怠感,発熱,腰痛を認め,全身精査で肺野に活動性病変を認めず,全身リンパ節,骨,皮下,腹膜,腸管に多彩な病変を認めた.インターフェロンγ遊離試験(interferon gamma release assay:IGRA)は陰性であった.縦隔リンパ節生検から結核菌が培養され,播種性結核と診断した.免疫抑制宿主において,複数の病変を認める際は,IGRAが陰性で活動性肺病変を認めない場合でも,播種性結核を念頭におく必要がある.
Received 1 Feb 2022 / Accepted 30 Mar 2022
磯 博和
〒113–8603 東京都文京区千駄木1–1–5
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
日呼吸誌, 11(4): 228-231, 2022