上気道由来の市中感染型MRSA菌血症に併発した胸膜炎の1例
森田 浩嗣 小高 倫生 中野 千裕 押尾 剛志 廣内 尚智 松瀬 厚人
東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科
症例は1ヶ月前に鼻腔毛嚢炎に対して抗菌薬投与歴のある生来健康な37歳男性.急激な左上背部痛を認め,血液検査で炎症反応の上昇,および画像検査で左胸水を認め,左胸膜炎と診断した.血液培養検査からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)が検出され,咽頭培養からも血液培養と同様の薬剤感受性を示すMRSAが検出された.バンコマイシン(vancomycin:VCM)投与後から臨床所見および悪化傾向であった画像所見も改善した.以上から,上気道が侵入門戸と考えられる市中感染型MRSA菌血症に併発した胸膜炎と診断した.
Received 4 Feb 2022 / Accepted 30 Aug 2022
小高 倫生
〒153–8515 東京都目黒区大橋2–22–36
東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(6): 335-339, 2022