呼吸困難なく,偶発的に診断し得たplatypnea-orthodeoxia syndromeの1例
平野 瞳a 根本 健司b 江田 陽子a 西野 顕吾a 松田 峰史a 齋藤 武文a
a国立病院機構茨城東病院内科診療部呼吸器内科
b医療法人根本医院
症例は,肺気腫に合併した器質化肺炎に対し経口ステロイド薬を使用した68歳男性.肺炎が改善した後も呼吸困難を伴わない低酸素血症が遷延した.経胸壁心エコー検査と右心カテーテル検査で,右房から左房への心内シャントを確認.卵円孔開存によるplatypnea-orthodeoxia syndrome(POS)と診断した.本症例は,肺炎とステロイド使用による循環血漿量の減少が,心臓の形態変化による右左シャントを増強し,肺気腫と器質化肺炎による換気血流比不均衡増大も加わり,既存のPOSの病態が顕在化したと考えた.
Platypnea-orthodeoxia syndrome(POS) 卵円孔開存 右左シャント
Received 13 Oct 2022 / Accepted 19 Dec 2022
平野 瞳
〒319–1113 茨城県那珂郡東海村照沼825
国立病院機構茨城東病院内科診療部呼吸器内科
日呼吸誌, 12(2): 102-106, 2023