薬剤性肺障害の原因をハナビラタケと診断し,アレクチニブを再投与できた肺腺癌の1例
呉 藤浩a,b 佐藤 祐a,c 村田 研吾a 北園美弥子a 和田 曉彦a 髙森 幹雄a
a東京都立多摩総合医療センター呼吸器・腫瘍内科
b船橋市立医療センター呼吸器内科
c東京都立多摩総合医療センター救急・総合診療センター
症例は81歳男性.肺腺癌に対してアレクチニブ(alectinib)で加療中に肺障害を認めた.健康食品としてハナビラタケを摂取しており,全薬剤とハナビラタケを中止後,ステロイドを投与し肺障害は改善した.薬剤リンパ球刺激試験ではハナビラタケのみ陽性で,アレクチニブの再開後も肺障害は再発しなかった.以上よりハナビラタケによる薬剤性肺障害と診断した.薬剤性肺障害の頻度が高い薬剤による加療中に生じた肺障害であっても,他の薬剤や健康食品まで含めた原因薬剤の検討が重要である.
薬剤性肺障害 ハナビラタケ アレクチニブ 薬剤リンパ球刺激試験
Received 25 Nov 2021 / Accepted 1 Mar 2023
村田 研吾
〒183–8524 東京都府中市武蔵台2–8–29
東京都立多摩総合医療センター呼吸器・腫瘍内科
日呼吸誌, 12(3): 144-148, 2023