ニボルマブ・イピリムマブによる筋炎合併重症筋無力症を発症した悪性胸膜中皮腫の1例
浅岡 るう 麻生 裕紀 福島 曜 西永 侑子 清水 隆宏 馬場 智也
一宮市立市民病院呼吸器内科
症例は73歳男性.悪性胸膜中皮腫にてニボルマブ・イピリムマブ(nivolumab/ipilimumab)併用療法を1コース施行開始した4週後にCPK上昇と両下肢の脱力・眼瞼下垂・構音障害を認めた.筋炎合併重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)と診断しステロイド治療を開始後に,MGの急性増悪によるⅡ型呼吸不全をきたした.人工呼吸管理下で血漿交換療法を施行したが呼吸不全が遷延し,免疫グロブリン大量静注療法を追加後に人工呼吸器を離脱して自宅退院が可能となった.ニボルマブ・イピリムマブ投与後に重症の筋炎合併MGを発症したが救命しえた,貴重な症例と考えた.
悪性胸膜中皮腫 重症筋無力症 筋炎 ニボルマブ イピリムマブ
Received 26 Jun 2022 / Accepted 24 Jan 2023
麻生 裕紀
〒491–8558 愛知県一宮市文京2–2–22
一宮市立市民病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(3): 149-153, 2023