血球減少の改善に伴い顕在化したメトトレキサート肺炎の1例
芳賀三四郎a 田中 徹a 柏田 建a 齋藤 好信a 寺崎 泰弘b 清家 正博a
a日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
b日本医科大学付属病院病理部
症例は76歳女性,関節リウマチに対してメトトレキサート(methotrexate:MTX)で加療中に,発熱,低血圧や汎血球減少を認め,当院に救急搬送された.MTXによる汎血球減少および発熱性好中球減少症の診断のもと,抗菌薬治療に加えて,MTX休薬および抗葉酸代謝拮抗剤を開始した.その後汎血球減少が改善した時点で,両側肺野びまん性すりガラス陰影の著しい増悪を認め,経気管支肺生検の病理所見等からMTX肺炎と診断された.血球減少の急速な改善に伴いMTX肺炎が顕在化した臨床経過において,免疫再構築症候群の病態が示唆された.
Received 4 Apr 2023 / Accepted 26 Jun 2023
芳賀 三四郎
〒113–8603 東京都文京区千駄木1–1–5
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
日呼吸誌, 12(5): 256-260, 2023