脳転移のみを繰り返し,ペムブロリズマブ併用化学療法が奏効したオカルト肺癌
伊藤 光佑* 藤井 哲哉 原田 美沙 水津 純輝 村川 慶多 上原 翔
国立病院機構山口宇部医療センター呼吸器内科
*現所属:山口県済生会下関総合病院呼吸器内科
48歳女性.歩行障害,頭痛を契機に脳腫瘍と診断され,手術標本の病理診断で肺癌の脳転移と診断された.CT,PET-CTでは原発巣を同定できなかった.術後3ヶ月で脳腫瘍の再発を認め,再手術が施行されたが同様の組織診断であった.PD-L1 TPS 100%と高発現であり,シスプラチン(cisplatin)+ペメトレキセド(pemetrexed)+ペムブロリズマブ(pembrolizumab)併用化学療法を施行した.4コース終了後,右肺上葉の小結節を切除したが癌組織を認めなかった.脳転移巣を認め,化学療法が奏効したオカルト肺癌の報告は稀である.
Received 2 Mar 2023 / Accepted 13 Jun 2023
伊藤 光佑
〒755–0241 山口県宇部市東岐波685
国立病院機構山口宇部医療センター呼吸器内科
*現所属:山口県済生会下関総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(5): 270-274, 2023