肥厚性硬膜炎および視神経周囲炎による著明な視力低下をきたしたANCA関連血管炎の1例
鶴賀 龍樹a 藤本 源a 加藤久美子b 伊藤 稔之a 古橋 一樹a 小林 哲a
a三重大学医学部附属病院呼吸器内科
b同 眼科
症例は80歳男性.ANCA関連血管炎(ANCA-associated vasculitis:AAV)にプレドニゾロン(prednisolone:PSL)で加療を行っていた.経過中に頭痛症状と左視力の急激な低下(光覚弁)が出現したため,当科緊急入院となった.頭部造影MRI検査で肥厚性硬膜炎および視神経周囲炎を認め,ステロイドパルス療法を施行したところ視力は著明に改善し,以後シクロホスファミド(cyclophosphamide)静注療法(IVCY)を導入して退院となった.肥厚性硬膜炎,視神経周囲炎はAAVの経過中に発症する稀な合併症であり,ADLの低下や時に生命予後にも関わるため,各科と連携しながら積極的に疑い診断,治療を行うことが重要である.
ANCA関連血管炎 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 肥厚性硬膜炎 視神経周囲炎
Received 7 Dec 2023 / Accepted 26 Feb 2024
鶴賀 龍樹
〒514–8507 三重県津市江戸橋2–174
三重大学医学部附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 13(3): 116-120, 2024