家庭用防カビ剤の吸入による肺障害の1例
石黒 卓a 小林 洋一a 杉田 英章b 仙波 秀彦b 磯野 泰輔a 河端 美則c
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b同 薬剤部
c同 病理診断科
73歳男性が次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用防カビ剤を使用した3日後から呼吸器症状を発症した.第7病日に当院を受診し,侵襲的人工呼吸管理を要した.ステロイド投与により呼吸状態は改善,第11病日に抜管し第29病日に退院した.ステロイドを漸減投与し中止したが発熱と息切れを自覚,肺生検にて通常型間質性肺炎パターンおよびacute fibrinous and organizing pneumoniaの組織像を認めた.薬剤による肺障害かそれを契機とした間質性肺炎の急性増悪と考えた.
次亜塩素酸ナトリウム 家庭用カビ取り剤 再燃 間質性肺炎の急性増悪 通常型間質性肺炎
Received 27 Aug 2024 / Accepted 29 Aug 2024
石黒 卓
〒360–0197 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 13(6): 301-305, 2024