

二酸化塩素ガス吸入による化学性肺炎をきたした1例
内藤 大貴* 川口 紘矢 中山 剛 丸山 広高 山根 宏美 安道 誠
熊本労災病院呼吸器内科
*現所属:水俣市立総合医療センター呼吸器内科
症例は20歳男性.製紙工場で勤務中に二酸化塩素の配管が破損し,背中に二酸化塩素の溶液を浴びた.その後呼吸困難,咳嗽,咽頭痛が出現し救急搬送された.来院時には酸素5L/分を要する呼吸不全があり,CTで全肺野にすりガラス陰影を認めたことから,二酸化塩素ガスの吸入曝露による化学性肺炎と判断した.ステロイドミニパルス療法,気管支拡張薬吸入で症状は改善傾向となり,入院6日目に自宅退院となった.二酸化塩素による化学性肺炎の報告は少ないが,除菌,漂白など多方面で使用頻度が増しており,注意する必要がある.
Received 24-Oct-24 / Accepted 20-Nov-24
内藤 大貴
〒866–8533 熊本県八代市竹原町1670
熊本労災病院呼吸器内科
現所属:水俣市立総合医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 14(2): 93-96, 2025