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書誌情報

ミニレビュー

BALT(bronchus-associated lymphoid tissue)の基礎的,臨床的展望

佐藤 篤彦 

〒604-8491 京都市中京区丸太町通御前東 京都予防医学センター

要旨

ヒトの粘膜面には分泌型IgAを産生するための独自の粘膜免疫機構が発達しており,気道にはその誘導組織として気管支随伴リンパ組織(bronchus-associated lymphoid tissue: BALT)が存在する.BALTは,細気管支粘膜下にみられるリンパ濾胞で,抗原特異的な分泌型IgA抗体産生細胞を気道に分布させるための誘導組織として気道の粘膜免疫の中心的な役割を担っている.ヒトにおけるBALTの存在は不明であったが,筆者らは,びまん性汎細気管支炎,慢性過敏性肺炎,膠原病性肺疾患においてBALTの顕在化を証明した.これらの病的状態で発現したBALTは,血清IgA値の上昇などの疾患の病態に関与していることを各種呼吸器疾患で解明した.気道ビッグバンと言えるような反復する抗原刺激やIL―4などのサイトカインがBALTの発達を促し,さらに,顕在化したBALTから肺原発の粘膜関連リンパ組織由来のリンパ腫であるBALTomaの発生する可能性を究明した.

キーワード

気管支随伴リンパ組織  BALT  びまん性汎細気管支炎  膠原病性肺疾患  慢性過敏性肺炎  BALToma 

Received 平成11年8月16日

日呼吸会誌, 38(1): 3-11, 2000

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