経気管支肺生検にて確定診断を得た血管内リンパ腫症の2症例
〒802-8555 北九州市小倉北区貴船町1-1 社会保険小倉記念病院内科
症例1は71歳,男性.38℃の抗生剤不応の発熱が続き,LDHの上昇,低酸素血症,可溶性IL-2受容体価の上昇を呈した.胸部CT上では肺底部を除き,両肺に中心性に濃度上昇を認めた.経気管支肺生検(TBLB)を施行し血管内リンパ腫症の診断を得た.症例2は65歳,男性.38℃の抗生剤不応の発熱が続き,LDHの上昇,低酸素血症,汎血球減少,可溶性IL-2受容体価の上昇を呈した.胸部CT上では両上肺野を主体に,びまん性に淡い濃度上昇を認めた.肺血流シンチにて両側上,中肺野に血流の低下を認めた.症例1を経験したことから上記疾患を疑い,TBLBを施行し血管内リンパ腫症の診断を得た.本疾患は生前診断が困難なことが多いが,上記症例はTBLBにて診断を得ることができ,化学療法を施行しえた.低酸素血症の存在にもかかわらず,積極的なTBLBの施行が治療上も有益と考えられた.
Received 平成11年5月24日
日呼吸会誌, 38(1): 34-38, 2000