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日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 検索用
日本呼吸器学会誌 増刊号 学術講演会プログラム 抄録集 全文PDF

書誌情報

症 例

胸腔内ガス貯留により高度の縦隔偏位を呈した嫌気性菌膿胸の1例

遠藤 健夫1)4) 斎藤 武文1)  大瀬 寛高1)5) 中山 美香1)2)  渡辺 定友1)  関沢 清久2)  長谷川 鎮雄3) 

1)国立療養所晴嵐荘病院内科 2)筑波大学臨床医学系呼吸器内科 3)筑波大学副学長 〒310-0015 茨城県水戸市宮町3-2-7 4)現 水戸協同病院内科 5)現 茨城県立医療大学内科

要旨

症例は62歳の男性.慢性の喀痰,呼吸困難,全身衰弱を主訴に入院した.胸部X線およびCT上左胸腔内の胸水およびガスにより高度の縦隔偏位と左肺の虚脱が認められた.胸腔穿刺により便臭を呈するミルクコーヒー様の膿液が認められたため,膿胸に気胸あるいは気管支胸膜瘻の合併と考え,胸腔ドレーンを挿入した.一時的に排ガスが認められたが,以後深呼吸にてもair leakは認められず,気胸あるいは気管支胸膜瘻の合併は否定的であった.後に胸水の嫌気性菌培養でBacteroides属が検出され,胸腔内ガスは嫌気性菌により産生されたものと考えられた.胸腔ドレナージおよび抗生剤の全身投与により病状の改善が得られた.嫌気性菌感染を示唆する所見の1つに病巣局所でのガス産生が挙げられるが,嫌気性菌膿胸で胸腔内に多量のガス貯留を来たすことは稀と考え報告した.

キーワード

嫌気性菌  膿胸  ガス産生  縦隔偏位  Bacteroides属 

Received 平成11年6月9日

日呼吸会誌, 38(1): 45-49, 2000

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