喘息発作治療中にアスペルギルス脳膿瘍を合併した1例
片山 伸幸1) 宮崎 英明1) 藤村 政樹2) 中村 忍2)
〒933-8550 富山県高岡市宝町4番1号 1)高岡市民病院内科 2)金沢大学医学部第3内科
35歳男性が喘息重積発作にて入院した.人工呼吸管理下のステロイド大量投与によって喘息は軽快し,入院12病日に人工呼吸から離脱できたが,その後意識状態が悪化した.頭部CTでは出血を伴う多発性の低吸収域がみられた.MRIにて同部位は,T1強調画像で一部に高信号を含んだ低信号を示し,T2強調画像では不均一な高信号を呈した.頭部の剖検を行ったところ,肉眼的には多発性の脳膿瘍を認めた.組織では,膿瘍壁にY字状の真菌が浸潤し,血管壁への真菌の浸潤と塞栓像もみられたため,アスペルギルスによる多発性梗塞膿瘍と診断した.
Received 平成11年6月10日
日呼吸会誌, 38(1): 50-53, 2000