精巣病変を伴ったサルコイドーシスの1例
豊嶋 幹生1)2) 千田 金吾2) 増田 昌文1) 江口 豊寿1) 妹川 史朗2) 中村 祐太郎2) 須田 隆文2) 中村 浩淑2)
〒424-8636 清水市宮加三1231 1)清水市立病院内科 2)浜松医科大学第2内科
症例は68歳,男性.ぶどう膜炎,両側精巣腫大にて受診.胸部X線上,両側下肺野スリガラス状影,胸部CTにて縦隔リンパ節腫大,Gaシンチにて肺門・縦隔に加えて,両側精巣に著明な取り込みを認めた.BALFリンパ球は32.3%と増加,CD4/8比は9.58と高値を示し,TBLB,精巣生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,精巣病変を伴ったサルコイドーシスと診断した.ステロイド剤全身投与を行わず,経過観察したところ,若干の肺野病変の進行および肺門・縦隔リンパ節の増大傾向を認めているが,自覚症状に乏しく,精巣病変の増悪もなく,引き続き経過観察中である.サルコイドーシスの精巣病変は稀であり,検索し得た限りでは12例の臨床報告があるのみであった.
Received 平成11年6月30日
日呼吸会誌, 38(1): 63-66, 2000