肺性肥大性骨関節症を合併した肺癌の1例
佐藤 浩二1) 岩崎 靖樹1) 小林 剛1) 砂長 則明1) 石原 真一1) 渡辺 覚1) 土屋 智1) 斎藤 龍生1) 森 昌朋2)
〒377-8511 群馬県渋川市金井2854 1)国立療養所西群馬病院内科 2)群馬大学第1内科
症例は61歳,男性.主訴は咳嗽,関節痛,下肢の浮腫.胸部X線,胸部CT及び肺針生検により,原発性肺癌の診断を得た.ばち状指,関節痛,骨シンチグラフィーの所見より肺性肥大性骨関節症を合併した原発性肺癌と診断した.血清中成長ホルモンが高値であったが,肺癌の免疫染色では陰性であった.化学療法+放射線療法を行うも抗腫瘍効果を認めず,関節痛が増悪した為,ステロイドを投与した.その後,急速に自覚症状の改善を認めたが,ばち状指の改善は認めなかった.自覚症状の改善に伴い,CRP・ICTPが低下した.また,骨シンチグラフィーの所見も改善した.本症の発症に成長ホルモンが関与している可能性が疑われた.ステロイドにより自覚症状が軽快し,CRP・ICTP,骨シンチグラフィーが治療経過の評価に有用であると考えられた.
肺性肥大性骨関節症 肺癌 成長ホルモン ステロイド ICTP(I型コラーゲンC末端テロペプチド)
Received 平成11年7月16日
日呼吸会誌, 38(1): 73-77, 2000