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書誌情報

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原　著

肺高血圧ラットにおけるホスホジエステラーゼ5阻害薬の選択的肺動脈圧低下作用

山口　芳  岡　正彦  西野　真由  花里　紀尚  吉良　枝郎  福地　義之助 

〒113-0033　文京区本郷2-1-1　順天堂大学医学部呼吸器内科

要旨

強力なcGMP特異的ホスホジエステラーゼ（PDE5）阻害薬であるE4021が選択的肺動脈圧低下作用をもつかどうかを，慢性低酸素性肺高血圧ラットモデルを用いて検討した．低圧チャンバー内で3週間飼育することにより作製した肺高血圧ラットにカテーテルを留置した後，無麻酔・覚醒下でE4021（3―1,000μg/kg）を静脈内投与し，急性の血行動態の変化を観察した．E4021は100，300，1,000μg/kgで有意にそれぞれ11±5％，12±6％，18±5％の平均肺動脈圧低下作用を示したのに対し，体動脈圧に対しては1,000μg/kgでのみ有意な降圧作用（9±2％）を示した．一方，心拍数および心拍出量は変化させなかった．組織中PDE5活性は，肺において大動脈に比べ著明な高値を示した．以上より，肺組織中に豊富に存在するPDE5活性を阻害することにより，選択的肺動脈圧低下作用が得られることが示され，E4021の肺高血圧治療薬としての有用性が示唆された．

キーワード

ホスホジエステラーゼ  肺高血圧  cGMP  E4021 

Received 平成9年4月16日

日呼吸会誌, 36(1): 23-28, 1998

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