健常喫煙者における血清CEA値,および好中球数の上昇と呼吸機能の関連性の検討
柏原 光介 中村 博幸 岸 厚次 木口 俊郎 柳生 久永 小林 克行 松岡 健
〒300-0332 茨城県稲敷郡阿見町中央3-20-1 東京医科大学内科学第5講座
喫煙による血清CEA値,および好中球数の上昇と呼吸機能の関連性について検討した.血清CEA値上昇喫煙者群(n=70,CEA>5.0ng/ml)および血清CEA値正常喫煙者群(n=693,CEA≦5.0ng/ml)では非喫煙者群(n=651)に比較して白血球(6,883±1,889/mm3,5,581±1,457/mm3 vs. 4,507±1,111/mm3,p<0.01),好中球(4,389±1,542/mm3,3,343±1,164/mm3 vs. 2,700±884/mm3,p<0.01)に有意な高値が認められた.呼吸機能検査では,3群間にて比肺活量(%VC)に有意差は認められなかったが,血清CEA値上昇喫煙者群では,血清CEA値正常喫煙者群および非喫煙者群に比較して1秒率(FEV1.0%)の低値が認められた(90.2±8.4% vs. 93.3±6.7%,92.9±6.5%,p<0.01).喫煙者における血清CEA値上昇が呼吸機能低下に関与している可能性が示唆された.
Received 平成9年5月2日
日呼吸会誌, 36(1): 29-33, 1998